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藤田知哉社会保険労務士事務所

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社会保険料削減事例〜A社の場合
合理的な経費削減のポイントは?


◆経営者の悩み

私のもとに相談に来られる会社様は、大なり小なり「お金」、そして何より「ヒト」に関して課題や悩みを抱えています。今ある資金の範囲内で、よりスピーディに、より効果的に利益向上を図ろうと、必死に考えておられます。私の相談依頼の半分を占めるのが社会保険料ほか人件費の見直しの問題です。

この話題、最近、雑誌やテレビなどで取り上げられることがありますが、テレビや雑誌の回答が必ずしもあなたの会社にとっての最良の答えとは言えません。100社あれば、100通りの答えがあるものなのです。

ですが、社会保険の節約法は、ポイントさえ押さえておけば、いくつかの改善パターンに集約できるのも事実です。これからお話する事例は、以前、依頼を受けましたA社の具体例です。

金額については総報酬制が始まる前ですので、現在とは異なっております。また、紙面の都合上、計算上で生じる端数及び、ひとつひとつの改善策の細かいノウハウについては省略してます。ですが、実話を下敷きにしております。経費削減はもちろんですが、労務管理上でも似たような問題を抱えている企業が多くあろうかと思います。ストーリーを追いながら、経費削減の実現に伴う問題点及び改善に至るまでのプロセスを感じていただけたら、と思います。


◆何も知らなかったばっかりに、年間80万円も余分に経費を払っていたなんて!

「この人件費、何とかなりませんか・・・」

A社社長からの相談でした。保険料の負担増により、「無駄な人件費の削減及びそれに伴う人事体制の見直しができないか?」との依頼です。人数、勤務形態、シフト体制ほか、実行できそうなことをいろいろと調べてみました。当時、A社では十数人に及ぶパート社員を採用していました。現状、月々の給与、社会保険料等の法定福利費の会社負担の増加で、資金繰りを圧迫していました。

調べてみました。これらの人事体制を見直すことで、一体どれくらいの経費削減が実現できるのかを。すると、驚きの結果が出ました。

このケースでは、月々約6万7千円節約できることが判明したのです。

月に6万7千円ということは、年間でなんと80万円の余分な経費を支払っていた事になります。

当然の事ですが、これはA社の預金通帳から消えていってしまったお金なのです・・。

これだけのお金、売上から利益を確保するとなると、どれだけ困難なことか、考えた事ありますか?


人事体制の見直しによる社会保険料のコスト削減は、会社の経費が保険料の削減分だけ減りますから、その効果は絶大です。 また、当然の事ながら、人事体制の見直しによる生産性の向上も期待できます。


◆重要なアドバイス!〜経費削減より優先すべきこと

本題はこれからです。

まぁ、これだけならまだ、よかったのですが(良いわけないですよね。80万円も消えていたのですから)、実は、このA社、私が相談を受ける前に、こんな出来事があったのです・・。

当時、A社パート管理の状態は、実は、「パート」といってもいろいろで、本当の意味でのパート、つまり、常勤者よりも勤務時間や勤務日数が少ない人で本来加入義務のない学生さんが雇用保険に加入している一方、正社員と同様の勤務形態にもかかわらず、単に時間給者というだけで社会保険に加入していない、いわゆる「擬似パート」も5人程いたのです。彼らの大半は、時間給で、労働条件はバラバラなまま、口頭で済ませていたのでした。

そんな時、主婦パートのBさんが離婚して、旦那さんの扶養家族でいられなくなったことに加え、収入も増やさないといけない、との事で自らの社会保険加入を申し出てきました。
その後も、「私はいつ正社員になれるのですか?」とか、「なぜ有給休暇が取れないんですか?」と、日々エスカレート、ほかのパート社員も「雇用保険に入れてくれ」とかで大騒ぎ。職場の空気がどんどん悪くなっていったんだそうです。

A社の失敗は、労働条件の説明を口頭で済ませていたことにありました。そのため、働く基準が曖昧になり、従業員が自分の都合の良いように権利を主張してくるようになったのでしょう。
パートでも労働者であり、正社員同様、きちんと書面で雇用契約を結ばなければなりません。


この際、重要なのは、契約書の作成です。「パートタイマー雇用契約書」というように、従業員の種類を明確に区別しておくことが重要です。もし労働時間が長くなるようであるならば、その時に雇用契約を結び直すべきであって、結果的にズルズルと長くなることは避けるべきです。もちろん、契約書のタイトルだけで実体が伴っていない、なんてことは、絶対ないようにしたいものです。

また、パート社員の中には生活防衛の手段として、所得税、住民税、社会保険などの面で夫の扶養家族としてのメリットを十二分に享受しようとする主婦パートの振る舞いが社会現象の一つとして定着しています。税金や社会保険の制度の良し悪しは別として、問題はその「枠」からとっくに飛び出しているのに、恩恵だけは持ち続けようとする「いいとこ取り」をもくろむ人への対応です。

この対策として、最も効果のある方法は「いいとこ取り」をするようなパートさんの採用をしない事に尽きます。採用時点で、会社として採用しようとしているのはどういう労働条件のパートなのかを第一に提示すべきです。

要するに、税金や社会保険の「枠」の中、夫の扶養にとどまる程度の勤務日数、勤務時間に限定したパートなのか、社会保険にも加入するのか、あらかじめ選択肢を示し、いずれかを選ばせることです。いずれも選びたくなく、両方の都合の良いところだけを取ろうとする人の採用は最初から断る断固とした姿勢が必要です。

それができれば、その会社では本人の身勝手な希望ではなく、法や社内のルールに即した自然でけじめのある職場環境が形成できる空気が広がります。

社会保険の加入者の増大は企業にとってはコスト面でマイナスの要素となります。ですから、経費削減を念頭に入れ、勤務日数やシフトについては充分に検討すべきです。

しかし、その一方、「全てのパートに扶養を外れてもらい、社会保険は全員加入を原則」としている企業も見られます。目先の保険料削減のテクニックではなく、自社の人事労務制度をトータルに見直し、自社の業績向上に寄与できる、より高いレベルでのパート社員の人材戦略です。こうした企業のほうが総じてパート社員の養成に積極的であり、実際、経営改善に成功していることが多いようです。

どちらを選択するかは、会社それぞれでしょうが、そもそも、税金や社会保険の「枠」を無視して、本人や会社の意図が図られるような会社は、往々にして非常に無駄なエネルギーを浪費することになっています。所定の要件を満たせば手続を事務的に進める、もしイヤなら要件を満たさないような働き方にシフトする、というようにシンプルに考える方が、思考経済につながり、経営者も労務担当者も時間と労力のムダが省けます。

「きまりだから守る」、という思考ではなく、「業務を段取り良く進めるための指標として余計な忖度を排除して法令を守る」という姿勢がコスト削減、経営改善には不可欠です。


結局、このときは、離婚した主婦パートのBさん及び彼女と仲の良かった主婦パートの1人は、会社と折り合いがつかず、自ら辞めていってしまいました。
社会保険加入義務のある他3人の「擬似パート」さん達は、税金と社会保険の制度主旨を理解してもらった末、最終的には「扶養の枠」の中で労働契約を結んでいく事になりました。

また、他のパート社員の勤務状況を調査したところ、以前より保険に加入していたパート社員のうち、@社会保険「加入義務なし」であった、Aシフト管理の徹底により、「適用条件外」に。≪ただし、労働保険は加入しています≫、B雇用契約を解除して、新たに外注契約を結び「独立事業主扱い」に、C辞めた人材の補填はアウトソーシングの有効活用で、により、本来支払わなければならない金額から、年間合計で約80万円の経費節減が実現できたのです。


社会保険料負担のインパクトは相当なものですので、中小零細企業が社会保険を完備するには、少々勇気がいります。社会保険料は、本人負担と会社負担で、給料の25%近くに達してしまいます。会社設立当初から社会保険に加入するならともかく、後から加入する場合には、手取り給料が少なくなる従業員の反発も考えられます。

もちろん、「良い会社」の条件は、社会保険だけで決まるものではありません。しかし、「良い会社」は必ず社会保険が完備されています。自分の家族が保険もない会社に勤めてたら、不安になるのも当然のことではないでしょうか。

ですから、起業当初は仕方ないとしても、軌道に乗り始めたら社会保険は完備してあげるべきです。

昨今、経費削減や業務の効率化、スリム化が声高に言われています。しかし、解雇やリストラを強行する以外にも、人事体制を見直すだけで大きな経費削減が実現できるのです。増税が続く中、被害を最小限に食い止めることは十分に可能なのです。そして、その前向きな姿勢が利益向上にも確実につながっていくのです。



さらに詳しい内容を知りたい方は、こちらよりお問い合わせ下さい。


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